ラース・フォン・トリアートリアー監督は主人公を過度に虐待する映画ばかりを好んで撮りますが
この映画も例外ではありません。
でも個人的には、これはトリアーなりの「究極の愛」を描いた映画なんだと思います。
彼の他の作品に比べると寓話的な可愛らしい感じもあり、
らしくないような気もします。
自己犠牲・無償の献身。敬虔な信仰心。
それらを賛美する映画は履いて捨てる程ありますが
この映画は「そんなものは何の役にも立たない」とばかりにサックリと切り捨てます。
むしろ自己犠牲や無償の献身・信仰心を踏みにじる
サディスティックな心理がトリアーにはあるように思われます。
しかしそれらのものを全く否定する訳でなく、
ただ、上っ面でこういうものを信仰する人々が反吐が出る程嫌いなんだと思うのです。
一見ひどいようだけど、結構人間的にはマトモな人だな…と思う。
そう思わない人の方が圧倒的に多いだろうけど…。
主人公のベスは夫のヤンに全てを捧げ、
それがどんなことでもヤンが望むことは全てやってのけた。
ヤンがベスの世界の中心であり、全てだった。
それが彼女を不幸へ不幸へと貶めていくのですから皮肉です。
このヤンという人は変態といえばそうなんだけど
この映画に出てきた人で彼程、ベスを理解し、受け止める人物がいたかな?と考えると
ベスに強要した行為も、この人案外真面目に頼んでるんじゃあないかな、と思う。
神様は傍観している。
信じれば信じた分だけ幸せになれるのならば、世界はなんて簡単だろうと思うけども。
奇跡が全ての人を幸せにする訳でもなく。
淡々と光が降り注ぐ。
ラストシーンが美しいです。