
(
陳凱歌 Chen Kai ge チェン・カイコー)
久々に観直しました。
私の初レスリーがこの映画だったことなどを思い出しながら…。
彼はやはり稀有な俳優だったと思います。
艶かしい「赤」から歴史の業火を思わせる「赤」への移り変わりが
この映画を華やかに、激しく彩っています。
京劇独特の色使いの衣装やメイク、音楽や歌なども
とにかく日本にはない豪華さがあります。
幼年期の修行時代がまず壮絶ですね。
蝶衣の子供時代(小豆)演じる子役の子がまた華奢で可憐で可愛いだけに
一層、痛々しくもあり…。
芝居の修行というよりかは少林寺か軍隊か何かか!?と思う程。
そんな厳しい修行のなかで身を寄せるように生きていく小豆と石頭。
後年成長してからも京劇の中では伴侶として生き、
現実では兄、弟と呼び合ったが、蝶衣(小豆)は小樓(石頭)を
京劇にのめり込みすぎたあまり現実でも愛してしまう…。
主人公の蝶衣(
レスリー・チャン)の儚げな妖艶さが印象的。
しぐさや表情が、かいがいしく夫(小樓)の世話を焼く可憐な新妻のようです。
全く男を感じさせないのです。
そこにいるのは、儚げで美しく、たおやかな女性。
それも、現実ではお目にかかれないような物語の中にのみ存在する夢の女性。
この役はレスリー以外の誰も演じられないでしょう。
作中で蝶衣を評して袁卿が詩を暗誦します。
「ひとたび微笑めば永遠の春が訪れ
また、ひとたび涙すれば永遠の悲しみに襲われる。君の為にあるような詩だ…」
みたいなセリフがありましたが、ほんとうにそうだな〜と納得してしまいました。
そんなセリフにリアリティを感じさせるなんて、と感心してしまいます。
11年後、全ての憎しみや悲しみを洗い流し、
少年時代の頃のような屈託のない二人に戻ったとき
とうとう蝶衣は
覇王別姫の姫そのものになってしまいます。
愛と憎しみと、歴史に翻弄される日々も
彼は役者であり続けた。
それが哀しくも美しい。
十年以上経っても、色褪せない名作。
多分、これからもその価値が変わることはないでしょう。