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ヘレン・ミレン特集


コックと泥棒、その妻と愛人


第一容疑者 DVD-BOX1


第一容疑者 DVD-BOX2


第一容疑者 3

B000JU7JSW
ゴスフォード・パーク





2007/10/01//Mon * 13:56
●○ピアニスト



B0000D8RO8


ミヒャエル・ハネケ

官能よりも主張したいものがこの映画にはあるように思う。

…えっと…想像してたようなエロはなかったです。
むしろマジメな映画かも。エリカ先生も、壊れてるけどマジメな人だと思います。

主人公エリカ(イザベル・ユペール)の変態性は、ただ単に抑圧の捌け口のように見え、
その性癖も成熟した女性というよりかは、少女が持つような性への興味・憧憬・嫌悪が混乱して過激になったようなものを感じる。

彼女にとって愛情と憎悪は同じものなのかもしれないと
母親との関係を見て思った。

彼女は一方的に自分に要求を押し付ける事しかしない母親を
憎んでいる。
と同時に母親を愛してもいる。
この矛盾。

この矛盾は人を狂気の淵に立たせるのに充分なものではないだろうか…。

彼女は男が欲しい。
彼女は男を憎んでいる。

彼女は快楽を貪る。
そして快楽を感じる自分の体が許せない。
自傷。

血は死と同時に性を象徴し、生を確認する手段でしかない。
矛盾だらけのエリカの頭はいつもとても混乱している…。

なんだかとても痛々しい映画でした。
出口も無く、死ねもせず、彼女は夜の街を彷徨って何処にいったのでしょう。






2007/02/20//Tue * 20:37
●○ゴスフォード・パーク



B000JU7JSW

ロバート・アルトマン

おもしろいからって人から勧められてたので観ました。
予想以上に良かったです。

レトロなイギリスの上流社会の雰囲気が良いです。
ミステリーというよりかは、ミステリー風味の群像劇ってかんじです。

上流社会と召使たちの対比がとても興味深いです。
貴族には貴族の、召使には召使の、各々厳格なルールがあるのですが
その相容れない二つの社会を同時進行で描いていき、
その埋めれない溝と、交差する瞬間を巧みに描き出しています。

貴族たちの下品さと滑稽さが印象深い。
召使目線からの彼らはうわべだけの上品さを演出する
傲慢で見栄っ張りで傍若無人な人々として描かれている。

有名人のピアノ演奏ではしゃぐ一般人出身の奥さんと
その夫の兄弟・姉妹・叔父・叔母などとの温度差もおもしろいですね。
貴族たちは、さも興味なさそうにポーカーに興じている。

微妙に豪華なキャスティングも私はすきです。
役者たちの抑えた演技の妙が作品に深みを増していると思われます。

まぁ、マギー・スミスマイケル・ガンボンエミリー・ワトソン
クリスティン・スコット・トーマスヘレン・ミレン
とくれば観るしかないって感じですが。

クリスティン・スコット・トーマスはかわらないですねぇ。
相変わらずキレイです。何歳なんだろ。
と思って調べてみたら、この映画の当時41才。
何ていうか年齢を超越した生き物だなぁ。

その、歳なりにキレイな女優さんがすきです。
ヘレン・ミレンもそう。
歳はとっているし若いって感じじゃないんだけど美しいんだな。
存在が。女優さんってこうじゃなきゃ。

若い=美しいじゃないと思う。
若くて美人な女性なんて世の中には案外多い。
スクリーンに残す価値があるのはもっと稀有なもの。
と思います。


登場人物が多いのに、一人一人のキャラクターが立っていて
そして最後は断片的なエピソードがきれいに纏まっていくさまがいいです。

ちょっと物足りないような、静かなラストが
なんとも上品で味わい深く仕上がっていると思います。

つまらない、好き、がはっきり分かれてしまう映画かもしれません。
それだけに、ハマると何回も見返しても楽しめる映画だと思います。





2007/02/19//Mon * 22:40
●○ピアノ・レッスン



B0009OA5IO

ジェーン・カンピオン

観よう観ようと思っているまに随分まえの映画になってしまいました。

なんかラース・フォン・トリアーの「奇跡の海」の主人公と
ピアノ・レッスン」の主人公って同じにおいがします…。
なんつうか痛々しいっていうか、見てられないっていうか…。
その存在じたいが波乱を巻き起こすような。

この映画の方が叙情的だけど。

静かな画面に広がる海。
そこに取り残された一台のピアノ。

濁りがないシンプルな音楽が合っててきれいです。

ホリー・ハンターはお尻がキレイですね。
「ハッ!」としました。

言葉を持たない女性の声。
ピアノの音。
決して自分の方を振り向かないと知ってしまった彼女の夫は
その彼女が唯一自由に飛び立てる瞬間を奪い羽をもいだ。

だけど皮肉なことにそうされてはじめて
彼女は現実を見て、生身の人間となったような気がする。

船が重みで沈みそうになるのを見て
何よりも大事だったピアノを「もういらない」といったのは本心だろう。
現実世界を受け入れ、生身の愛する人を得た彼女には
もうピアノは無くても大丈夫なのだから。

そして、ピアノを海に沈めようとした時…。
ピアノは道連れを求める過去の亡霊のように彼女に絡みついた。

それからのラストは予想外でした。

カタカタと音を鳴らしてピアノを弾く姿が印象的です。






2007/02/18//Sun * 20:51
●○クラッシュ



B00005LMFM


デビッド・クローネンバーグ

生身の肉体と金属の触れ合う瞬間が
クローネンバーグは好きで好きで堪らないんだろうなー、と思えてならない。

勿論内容は一般受けなどしない内容。するわけが無い。

私はこの映画の中の人のような趣味は全くありませんが
ここに描かれるフェチズムには惹かれるものがあります。
自分が実践したいなどという意味ではなく、結局、
この映画が好きかそうでないかは、
脳で感じれるかどうか、という感じがします。

ここでは社会的道徳や観念などが大した意味を成さない。
感覚で感じる。
視覚、触覚、痛覚などによる刺激だけが
彼らのリアリティであり、快感でありうる。

死に向かう、ほの暗く陶酔的な予感が堪らない快感を呼び起こす。
それほどの強さでなければまた、彼らは快楽を得られない程に
世界に絶望しているのかもしれない。
またそれらは、彼らに限ったことではない筈だ。

灰色にくすんだハイウェイを流れる車。
憂鬱の日常…。
どこか暗いところにでも堕ちていくようだ。
そんなやるせない気分を引きずって物語は進行する。

それにしてもこのジャッケット、格好良いですね。


2006/12/19//Tue * 20:43
●○さらば、わが愛/覇王別姫



B000BM6HMC


(陳凱歌 Chen Kai ge チェン・カイコー)


久々に観直しました。
私の初レスリーがこの映画だったことなどを思い出しながら…。
彼はやはり稀有な俳優だったと思います。

艶かしい「赤」から歴史の業火を思わせる「赤」への移り変わりが
この映画を華やかに、激しく彩っています。

京劇独特の色使いの衣装やメイク、音楽や歌なども
とにかく日本にはない豪華さがあります。

幼年期の修行時代がまず壮絶ですね。
蝶衣の子供時代(小豆)演じる子役の子がまた華奢で可憐で可愛いだけに
一層、痛々しくもあり…。
芝居の修行というよりかは少林寺か軍隊か何かか!?と思う程。

そんな厳しい修行のなかで身を寄せるように生きていく小豆と石頭。
後年成長してからも京劇の中では伴侶として生き、
現実では兄、弟と呼び合ったが、蝶衣(小豆)は小樓(石頭)を
京劇にのめり込みすぎたあまり現実でも愛してしまう…。

主人公の蝶衣(レスリー・チャン)の儚げな妖艶さが印象的。
しぐさや表情が、かいがいしく夫(小樓)の世話を焼く可憐な新妻のようです。
全く男を感じさせないのです。
そこにいるのは、儚げで美しく、たおやかな女性。
それも、現実ではお目にかかれないような物語の中にのみ存在する夢の女性。
この役はレスリー以外の誰も演じられないでしょう。

作中で蝶衣を評して袁卿が詩を暗誦します。
「ひとたび微笑めば永遠の春が訪れ
 また、ひとたび涙すれば永遠の悲しみに襲われる。君の為にあるような詩だ…」
みたいなセリフがありましたが、ほんとうにそうだな〜と納得してしまいました。
そんなセリフにリアリティを感じさせるなんて、と感心してしまいます。

11年後、全ての憎しみや悲しみを洗い流し、
少年時代の頃のような屈託のない二人に戻ったとき
とうとう蝶衣は覇王別姫の姫そのものになってしまいます。

愛と憎しみと、歴史に翻弄される日々も
彼は役者であり続けた。

それが哀しくも美しい。

十年以上経っても、色褪せない名作。
多分、これからもその価値が変わることはないでしょう。






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